●運動療法
運動は、糖代謝や脂質代謝を改善し、肥満の是正や防止に役立ち、食事療法とともに、糖尿病治療の基本となるものです。筋肉のエネルギー源は、安静時には脂肪組織から放出される遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)ですが、中等度の運動を始めると、最初は筋肉のグリコーゲンが主に利用され、10分以上たつと、今度は血中のぶどう糖が主なエネルギー源として使われるようになります。運動が2時間を超えると、ぶどう糖よりも遊離脂肪酸のりようのほうが主になります。
肥満があると、インスリン感受性が低下し、インスリンの効きにくい状態におちいっていますが、運動すると、これが改善されます。食後に運動すると、食後の高血糖が改善されたというデータもあります。
肥満体のままでジョギングしたり、骨粗鬆症があるのに長時間歩いたりすると、よくひざや足首の関節を痛めます。また、狭心症や心不全のある人が過度な運動をすると、胸痛をきたしたり、心不全を悪化させてしまいます。
糖尿病の運動療法としては、月に1~2回のゴルフとか、週末の激しいテニスなどよりも、毎日の規則正しいルーチンに組み込めるもので、「一人でも、いつでも、どこででも」できる運動が理想的です。費用もかからない、手軽なお勧めの運動療法の処方箋を次に提示します。
歩数計を毎日装着し、朝夕の通勤に1~2駅手前で降りて、速足で30分歩き、会社では仕事を思いつくたびにこまめに足を運び、エレベーター、エスカレーターには乗らない主義を貫き、帰宅して夕食後には歩数計をチェック。男性なら1万歩に満たない分を家の周りを散歩してくる。閉経後の女性なら6千歩までにとどめておきます。
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