インスリン不足と血糖値の上昇
私たちは、摂取した食物を体内でぶどう糖のかたちを変え、それをインスリンというホルモンの力を借りてエネルギー源に利用して生命を維持し、活動しています。
インスリンは、膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島にあるβ細胞(B細胞ともいう)から分泌されています。
このインスリンというホルモンが、必要なだけ分泌されなかったり、あるいは何らかの理由でインスリンが十分に作用できなかったときに、血液中のぶどう糖(血糖)が利用・処理されず、その濃度が高まり(高血糖)、尿の中にもぶどう糖(尿糖)が漏れて排泄されるようになります。
腎臓で尿がつくられるとき、血中ぶどう糖は、糸球体というところを通過して、いったん尿細管中に漏れて出てきますが、そこでほとんど全部が再吸収されてしまいます。
しかし、この量が多すぎると、再吸収力がおよばず、尿中にぶどう糖が下りてくることになります。
尿糖のおり始める時点の血糖値を尿糖排泄閾値(にょうとうはいせついきち)と呼び、普通では1デシリットルあたり160ミリグラム前後で、高齢になるほど、この値は高くなる(血糖値がより高くならないと、なかなか尿に糖がおりてこない)傾向があります。
血糖値が持続的に高くなっている状態のことを糖尿病というのです。
WHO(世界保健機関)は1985年に、糖尿病の基本的特徴を「慢性の高血糖状態」と明解に定義しました。
今日では一般的に「糖尿病はインスリン作用の不足に基づいて代謝の変動が持続する疾患で、基本的な特徴は耐糖能の低下、慢性の高血糖である。
罹患期間が長くなるにつれて特有の変性過程が進行し、しばしば最小血管症や神経障害を合併し、また動脈硬化が促進される」と定義されています。
→糖尿病の過程と症状
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